永遠を糸で縫い留めて

白龍

冬の雪景色をあつめたように真白い刀があった


母と父を殺され 妹の聴覚を奪われ


復讐のために私を呼んだ剣


あの日から腰と手には ずっと純白がある


これを憎めばいいのか 私の境涯を憎めばいいのか 誰も教えてくれないが


突き進んだ先に待つものは 私の死か 誰かの死のみである


白を嫌いになったこともある だがこのしろがなければ今の私は存在しない


刀がかたなではなく 龍の化身のように感じることもある


そんな時は 鞘から刃を抜き放ち 


そっと透明な小川にその身をひたすのだ


氷のように冷たくなった白い龍


だが 生ぬるいままよりも 落ち着く
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