永遠を糸で縫い留めて

曇天に虹

透明なビニール傘を 差した先に映ったものは


曇天


淡い虹色が 光を帯びて走っている


夜の鷹は この時から私に憑依したのであろうか


心苦しい日々を過ごしていたが 


芒の実る道を進むと


何故だか心潤う そんな秋の日


やがて空は晴れるだろう 傘もいらなくなるだろう


ぴんと張った傘の布に水滴が走る


きらきらと波打って 零れるようだ


ゆるやかに私の頬から 涙がひとつ落ちる


白い頬を もっと染めあげてほしい


虹色に
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