永遠を糸で縫い留めて

サイン会

活字と活字の間にしか見えなかったあのひとと


目の前で話せるなんて


自分の名前を あの物語を紡いだ手で 書いてくれるだなんて


こんな幸せがあったなんて


同じ本を読んだひとたちと 同じ空間で話が聞けるだなんて


あこがれのひとに 贈り物を 本を読んだその手で渡せるだなんて


こんな幸せがあったなんて


生きててよかったわ


長生きなんてするもんじゃないと思っていたけれど


あの苦しい日々の先に こんな日があるなんて


本を読み続けてきて よかったわ


読んだ本を重ねた先に 今の私とあのひとがいて


人生の途中で立ち止まって こうして文字だけが残って


また別れても 私たちは作家と読者


本を読んでいれば 繋がっていられるわ


またどこかで出会えますように
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