永遠を糸で縫い留めて

夏夕空に問うてみる

夏夕空に問うてみる

外ではなく内側に ひっそりと潜む景色に

人差し指を当てて

じっと瞳を閉じて

そうして見えてきたものに

草いきれの匂い

うっすらと湿った空気

生ぬるく 潮をはらんだ風に

瞳を開いた時には 世界はひらけている

もう今年の夏とは 二度と出会えない

だが生き続けるのは 己の呼吸の中

秋のよろこびの中に

夏を生き抜いた魂が じっとりとうずいている
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