永遠を糸で縫い留めて

夕顔

白い花の似合う女だった


夕顔を扇に乗せて 手紙を届けた


彼女に届けようと 俺の気持ちを


風はいまだに強く吹いているが


夕顔の花は散らない


俺と彼女の関係も保たれていた


あの頃が懐かしい


まさかあんな別れが訪れるなんて


あんなに短い逢瀬で 一生分の恋ができるなんて


人生とは わからぬものだ


陽がくれる前に帰ろう 


彼女のことを思い出して 胸が締め付けられる前に


紺色の悲しみに押し寄せられてしまう前に


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