永遠を糸で縫い留めて

若紫

ちいさいあの娘がすきなのよ


かのひとに似ているから 面影は薄紫


透明な薄紫


あのひとにかけてもらいたかった言葉


触れてもらいたかったこの頬


真っ白な頬


虹色のお手玉の糸の中に 今私は入っていないけれど


いつか紡がれるといい 彼女の琴の弦にも


あんまりにも可愛いから さらってしまった


誰かに怒られようとも 自分の気持ちが抑えられなくて


だから抱きしめたのよ まっすぐな射干玉の長い髪からは


藤の香りがした 私の予想通りだったのでにこりと笑った
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