永遠を糸で縫い留めて

末摘花

赤い花を摘んだ


くらやみの溶ける寝所で


誰にも渡さない俺だけの華


火を灯さずに女を抱いた


かるい女だった 


今まで抱いたどんな女よりも


赤い花は夕暮れの太陽のように大きく


あたたかく 熱く つめたかった


射干玉の髪に絡めとられた俺の白い身体


女を抱いたのは あいつへの優位性を誇るためだったような


汚れた感情もあった


紅い花 摘んだら最後


摘み取った者が最期まで水をやらなければいけない


摘まなきゃよかった 摘んだら最後


俺が華の責任を負う
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