永遠を糸で縫い留めて

須磨

葉がひかりに透かされて 青い川の上を流れてゆくのを 


ただぼんやりと腕を枕にして 半分まぶたを開けて


眺めているのが 今の日課だ


本当のひとりになってしまった


都にいた頃は 華やかに愛しあいされる日々を送っていたというのに


今は水をふくんだ風だけが 頬を撫でてくれる


遠くに残したあのひとは 今どうしているだろう


私が想っていても もう私のことは忘れてしまっているかもしれない


今宵も月が沈めば 冷えるだろう


こんな夜は 誰かを抱いて 熱を与えあっていたというのに
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