永遠を糸で縫い留めて

澪標

さあ 幕は開けた


私の時代がやってきた


水はさらさらと流れ ゆるやかに桜の花弁を乗せて春をいろどり


空気はひかりを散りばめて 満ちている 


歩くだけで 乾いていた肌が潤ってゆくようだ


別れたあのひとの行方を 気にかけている余裕は今はない


新しい気持ちで 前へ 前へと進むのだ


引き返すことなどできない


一歩一歩 草の根を掻き分けるように


ただ前へ 前へ


今まで負ってきた傷など見向きもしないで


血が流れていることも気にかけないで


どこかで泣いているあのひとの声も 聞こえぬふりをして
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