永遠を糸で縫い留めて

松風

風向きが変わったわ


あなたがふたたびあのひとを連れてきてから


もう終わったと思っていたのに 


新しい命まで連れてきて


何を考えているのかしら


私だけを 私との時間だけを 大事にして欲しかったということが


いつまで経っても伝わらないのね


松の葉は固くて揺れない だから私が強い力で枝を摑んで


ゆさゆさと揺らすの 折れてしまっても構わないというほど強く


だってあなたはそれくらいのことをしでかしたんだから


私の心を割ってしまったんだから


それでもいいと思ったんでしょ?


松の葉は 散らない


だから私が散らしてあげるの


この腕がもげるくらいに 指が 枝の肌に傷つけられて血が散るほどに
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