永遠を糸で縫い留めて

薄雲

儚い影を雲の端に残して


あなたは逝ってしまった


あなたとの紫色の恋は


冷たい泉の水面の白に 静かに宿っている


誰かが私たちを 汚いと罵っても


私たちの間には 私たちだけにしかわからない清らかなものが流れていた


今ここにいる誰もが いずれは薄雲の彼方に消えてゆく運命


けれども紫だけは変わらず 千年の世を漂い 繋ぎ続けるのだ


茜と紫が入り混じる夕暮れの果てを見つめながら


私は白い頬にそっと涙をひとすじ流した


その色は紫に染まっていた
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