永遠を糸で縫い留めて

胡蝶

春はあけぼの 桜の花弁は純白で 花嫁の冠のように 昼の光に透明に輝きながら揺れている


秋は夕暮 箱根のすすき野原は黄金に染まり 人生の晩年を告げている


春は闇 暮れてゆく 薄紫の空を背景に 木蓮の花が祈りを捧げるあかりのように 黒い枝に灯っている


秋は夜 凛と泣く 鈴虫の声が あの人と過ごした激しい夜の後の語らいを 思い出させてくれる
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