永遠を糸で縫い留めて

梅枝

透明な朝


窓を開くと かすかにつめたい二月の風とともに 梅の香りが頬を撫でる


少しほてっていた顔が 冷まされたようでありがたい


顔を洗った気分だ


手にしていた白いマグカップからただよう コーヒーの香りと混じってしまった


あのひとと毎朝飲むのが日課だったコーヒー

 

今日からひとりで飲むことになった


梅と風が あのひとのことを忘れさせてくれようとしてくれているのかな


ありがとう というつぶやきとともに 


マグカップを傾けると コーヒーを飲んだ


砂糖を入れていないのに どこかあまい味がした


涙のせいかな いや 梅の香りのせいか
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