永遠を糸で縫い留めて

闇を背負う

花火をこの公園で行うのは毎年の恒例だった


姉とふたり 


ちろちろと燃える線香花火は ほってりとまるくてほのあかるい 


ぱくりと食べてしまいたいという私に 姉はくすくす笑いながら止める


ちいさな太陽は たんぽぽの花が咲いたように橙の花弁を散らしている


消えてしまえばあとかたもないのに その瞬間だけは釘付けになる


日も暮れて 背後には闇しかない こってりとした黒を背負って 


今年の夏の終わり 私はひとりで 花火を灯す

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