永遠を糸で縫い留めて

風呂が燃えている

長風呂に入って本を読むのが


1日の終わりの合図だった


俺にとって最高な時間 誰にも邪魔させねえや


あれ


ちょっと待ってくれ


お湯の温度は39度に設定したはずじゃ


いつからこんなに 熱くなっちまったんだ?


いや お湯じゃねえ


これはもう炎だ


赤い炎が 全裸の俺を包んでいる


たすけてくれ


このまま風呂場で焼き死んじまう


火が お湯だったはずなのに


家族が誰も気づいてねえ


ガラス扉に閉じ込められて




ああ これが本当のぬくもりってやつか
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