永遠を糸で縫い留めて

こどくなよる

今日も紫が終わり 青を濃くこく重ねた空が 私を覆う


白い星がまだらに ぽつり ぽつり と浮かぶ


そのひとつずつに 焦点を合わせる


歩道橋を歩く 星よりも白いライトが明滅する


蛾が一羽 それにふれてとける


ふと 孤独や切なさが胸に去来する


こんな夜は 今までは


あのひとに電話してた


あのひとの声を聞くと 不思議と安心して眠れた


声を聞けるだけで幸せだった


今はもう 聞くことができない声


あのひとの残響だけが 耳に残っている


それだけをよすがに 私は今日も夜を生きる

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