クールな天才作家は彼女を激愛で溶かしたい
正体
しばらく会えない日が続いて私は禁断症状が出てきた。

会いたい!

先生のあの落ち着いた雰囲気を感じたい!
なんだか無条件に包み込んでくれるようなそんな感じなのよ先生って。

んー!

何もないのに連絡しても良いかな…。
いや、だめだろ。

ま、まず仕事仕事。

「中村ー」

編集長に呼ばれる。

「はーい」

「飛鳥先生の見本が出来たらしいから印刷会社までちょっと行ってもらえるか?」

そうだ!
今日だった!
先生には会えないけど、先生の本が出来上がるのを見れるだけでも嬉しい。

「わかりました!」

社用車に乗って行こうと駐車場まで行く。
一台だけ残っていた車に乗ろうとすると、配車担当者が慌てて走って来た。

「すみません! さっき使えるって言ったんですけど、この車これから点検に出さないといけないんでした!」

えー!?

「わ、わかりました」

印刷会社まではそこまで遠くないし、仕方ない。
電車で行くか。

変な人いませんように。

内心ビクビクしながら電車に揺られ印刷会社まで足を運ぶ。

「お世話になっております。集談社から参りました、中村です」

事務所に声をかけるとすぐに見本用の本が渡された。
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