【コミカライズ】仕事の出来る悪役令嬢、薄幸王子様を幸せにアップグレードしておきました。

24 難事

「……ええ。ですからつまり、エレイン様と私は例えるならば上司と部下のような関係性なので、私が失敗したならば、あの方からのああいったお叱りは仕方ないと割り切れます」

「そうだな」

「職務上の失敗には振り返りや、これからの対策案は必要ですが、精神的な落ち込みなどは不必要です。私は確かにウィリアム様が怪我をする事態の想定を事前に怠りましたし、エレイン様はそれを指摘する必要がありました。ですが、私がこれを二度と繰り返さなければ、エレイン様はそれで良いのです」

「……確かに、そうだな。俺もそう思う。精神的に落ち込んでも、何にもならない。単なる時間の無駄で、その先を考えた方が有意義だ。モニカの言う通りだ」

 そう言ってウィリアムは、考え込むように腕を組んだ……とは言っても、私だって会社員時代、失敗してしまえば、よく落ち込んだものだ。

 経験値のない段階で、失敗をしない人は居ない。

 誰もが最初は初心者なのだから、頼もしい実績のある経験者となるためには、何度か手痛い失敗を経験する必要がある。

 そして、落ち込んで泣いていても、この事態の改善点が見つかる訳でもないと自分で気づく。

 それは私だって何度も何度も繰り返すごとに、得心していった事なのだ。

 ウィリアムがいくらチート級ヒーローだとしても、経験値を上げるには、まだまだ時間が足りないといったところかしら。
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