【コミカライズ】仕事の出来る悪役令嬢、薄幸王子様を幸せにアップグレードしておきました。

30 伏線回収

「……見事な手際だったわね。モニカ。ダスレイン大臣は執務室を破壊しているところを目撃したお父様を怒らせて、一時的とは言え謹慎処分。政治的には、立派な失脚よ。みんな貴女のおかげね。私と弟を守ってくれてありがとう」

「まあ。エレイン様。お褒めいただき、ありがとうございます。私にとって何よりのお言葉にございます」

 エレイン様の宮でのお茶会に呼ばれた私とウィリアムは、異国から特別に取り寄せたというお茶を頂きながら、ダスレイン大臣がその後どうなったのかという話をお聞きしていた。

 ……とは言え、あの時の私が何をしたかと言うと、エレイン様に『国王陛下をダスレイン大臣の執務室に向かうように働きかけてください』と、お願いしたことだけ。

 まさかここまで思惑通りに上手くいってしまうなんて、私自身も驚いている。

 空き時間を見て度々観察していたところ、ダスレイン大臣は何か気に入らないことがあれば、執務室で暴れ散らす悪癖があったようだ。

 けれど、それは人の居ない深夜にだいたい行われ、側近たちは朝までに、必死でそれを元通りにしていたらしい。

 人が良い温厚そうな外見とは違い、とてもとても性格の悪い悪役なので、ダスレイン大臣の側近は彼に弱みを握られ、絶対的な忠誠を誓わされた者ばかり。

 つまり、逆らうことが許されないし、情報漏洩などしようものなら、奈落の底に突き落とされてしまうだろう。

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