【コミカライズ】仕事の出来る悪役令嬢、薄幸王子様を幸せにアップグレードしておきました。

04 姉の心配

「モニカ。あの子は……今日は、何をしていたの?」

 王女の身分に相応しく豪華なドレスに身を包んだ美しいエレイン様は、彼女の取り巻きである私の隣を通り抜けようとしたその時に、さりげなく質問をした。

「つつがなく、過ごされております……体調なども良く食事も三食、きちんと食べられております。エレイン様」

 以前までの悪役令嬢モニカは、こういった時に嬉々として、今日はどれだけ酷い言葉を使って彼を虐めたとエレイン様に報告をしていた。

 そうすれば、彼女に喜んで貰えると思い込んでいたからだ……本当に、大きな勘違いだった訳だけれど。

「……そう」

 取り巻きの一人である私へ耳打ちをした後で、感情のない返事をし立ち去る、素っ気ない態度の第一王女エレイン様。

 けれど、小説を読んでいる私は知っているのだ……今のままでは何も出来ない彼女が、幽閉されている弟ウィリアムを、心から心配しているのを。

 私は記憶を取り戻してからというもの、彼へ暴言を吐くだけのために、たまにしか行かなかったウィリアムの宮へと日参するようになった。

< 17 / 202 >

この作品をシェア

pagetop