【コミカライズ】仕事の出来る悪役令嬢、薄幸王子様を幸せにアップグレードしておきました。

32 準備万端

 私の目は口汚く叫びながら暴れる回るダスレイン大臣の姿を映しつつも、頭の中ではウィリアムに迫り来る、次なる困難への解決策をいくつか考えていた。

 ……私の記憶からすると、そろそろ、不穏な知らせや、前兆が起こり出すはずなのよね。

 自分がどうしようもない出来事には、別のことに意識を向けて変にメンタルを削られない。平常心を保つことこそが、自分を助けてくれる。

 あんな風に目の前でわざとらしくいくら暴れ回っても、私は怯えたり恐怖したりなんてしないわよ。

 誰かの不機嫌は、その人だけのもの。私は決して影響されたりしない。

 ……私がみっともなく泣き叫び絶望すると思って、やっているんでしょう。だから、敢えてその逆を行くわ。

 本当に、残念でした。

「良いか……モニカ・ラザルス。お前は、一生ここに居るんだ。ここは知られていない。誰も助けに来ない。行方不明で探されても、ここには辿り着けないだろう。絶対に、許さないからな……」

 私が考え事に耽っていた隙に、ダスレイン大臣が起こした癇癪は、ようやく落ち着きを取り戻していたようだった。

 あら……いけない。

 ここで私がダスレイン大臣に余裕の態度を見せると、逆上してとんでもないことになりそうだわ。

 彼の怒りの行為を見て十分に怖がっていると、怯えた演技をしなくては。

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