【コミカライズ】仕事の出来る悪役令嬢、薄幸王子様を幸せにアップグレードしておきました。
35 アップグレード完了
「……モニカ。お前は本当に、わかっていない……俺はお前のことを、好きだと言ってあっただろう」
「え? え……そうです。けど……」
ウィリアムは戸惑っている私に近づいて、今まで何なのかわからなかった赤い薔薇の花束を差し出したので、慌てて胸にそれを抱いた。
ふんわりと香る優しい香り。上品な赤。夕焼けの光に相まって、たっぷりとした花弁は、本当に美しい。
そして、光る指輪を持って私の前に跪いていたウィリアムの顔は、とても真剣だった。
けれど、私はこの状況がとても不思議だった。
この異世界には愛する人と、指輪を交換するという制度はない。赤い薔薇にだって、あの花言葉のように特別な意味はないのだ。
……ない、はずなのに?
どうして、これを?
「あの……その、この指輪は、一体どういうことですか?」
彼がここで指輪を用意した意図を確認したい私の言葉を聞いて、ウィリアムは楽しげに微笑んだ。
「キャンディスという、あの女官に聞いた。俺の見たところ、どう考えても二人は話は合わなさそうだが……君の友人という触れ込みだったからな。俺の気持ちをモニカにわかってもらいたいと相談したら『赤い薔薇と指輪を一緒に贈ってください。出来れば跪いて』ということだったので、今俺はここでこうしている」
そう言って、ウィリアムは私の左手の薬指に、指輪を嵌めた。夕日に燦然と輝く大きな金剛石(ダイヤモンド)の指輪。
ああ。嘘でしょう。
「え? え……そうです。けど……」
ウィリアムは戸惑っている私に近づいて、今まで何なのかわからなかった赤い薔薇の花束を差し出したので、慌てて胸にそれを抱いた。
ふんわりと香る優しい香り。上品な赤。夕焼けの光に相まって、たっぷりとした花弁は、本当に美しい。
そして、光る指輪を持って私の前に跪いていたウィリアムの顔は、とても真剣だった。
けれど、私はこの状況がとても不思議だった。
この異世界には愛する人と、指輪を交換するという制度はない。赤い薔薇にだって、あの花言葉のように特別な意味はないのだ。
……ない、はずなのに?
どうして、これを?
「あの……その、この指輪は、一体どういうことですか?」
彼がここで指輪を用意した意図を確認したい私の言葉を聞いて、ウィリアムは楽しげに微笑んだ。
「キャンディスという、あの女官に聞いた。俺の見たところ、どう考えても二人は話は合わなさそうだが……君の友人という触れ込みだったからな。俺の気持ちをモニカにわかってもらいたいと相談したら『赤い薔薇と指輪を一緒に贈ってください。出来れば跪いて』ということだったので、今俺はここでこうしている」
そう言って、ウィリアムは私の左手の薬指に、指輪を嵌めた。夕日に燦然と輝く大きな金剛石(ダイヤモンド)の指輪。
ああ。嘘でしょう。