【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
閑話7 家庭教師になって(アネット視点)
 ◇

 以来、私は週に三度ほど奥様の家庭教師を務めることとなった。

 相変わらずリスター伯爵家の古株の使用人たちは、私を嫌っている……というか、警戒心が丸出しだった。それは、面白いほどに。

 きっと、私が奥様を傷つけないか心配だったのだろう。

 ちなみに、私は奥様の家庭教師といっても、住み込みではない。普段はここから少し離れたところにあるアパートで生活をしている。

 ただし、家庭教師として雇われている以上、仕事部屋は必要となる。

 というわけで。私は邸宅の端っこにある部屋を与えられて、授業の合間などの休憩時間を、ここで過ごしていた。

 隣の部屋は護衛として雇われている魔法使い、ロザリアさんの仕事部屋となっているらしい。……時折大きな音がするけれど、あれは気にしない方向でいこう。誰も突っ込んでいないので、日常なのだろう。

「……今日の授業内容は」

 ロザリアさんは家庭教師同士、授業内容の共有をしたほうがいいと言ってきた。そのため、どうしてか私は彼女と交換日記のようなものをしている。

 書いてあるのは、業務内容が七割。日常の出来事が三割。本当に、交換日記と化してきている。

「……なんなのかしらねぇ」

 彼女には恋人がいるらしく、恋人との惚気まで書き連ねられている。……そういうの、いらない。本当に

 ぺらぺらとノートをめくりつつ、私は明日の授業の内容を組み立てていく。

 大まかには打ち合わせをしているものの、事細かな部分はそのときそのときで調整する。だって、奥様って優秀なんだもの。

 机に頬杖を突く。……そういえば、今度神官が様子見にくるとか、言っていたわね。
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