【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
第28話 いよいよ
◇
アネットさまが私の家庭教師をしてくださるようになって、少しが経ち。
迎えたこの日。私は、神官のチェックを受けることとなっていた。
……以前、何度か神官の人と会ったことはあるのだけれど。
今回は、今までのものとは違う。完全な試験だった。
「奥さま。大丈夫ですよ」
ロザリアさんがそう言ってにっこりと笑いかけてくれる。……私は、曖昧に笑うことしか出来なかった。
(今日は、いわば試験だものね。私が失敗すれば、それだけ皆さまに負担がかかってしまう……)
今でも、刻一刻と。土の魔力は失われているのだ。
誰もが、一刻も早い改善を望んでいる。それすなわち、早く私が力をコントロールできるようになって、儀式に取り組む必要があるということ。
「とりあえず、落ち着きましょう。お茶をお持ちしました」
マリンがそう言って、目の前のテーブルにティーセットをおいてくれる。
流れるような動きでポットからカップに紅茶を注ぐ。ふわっとした心が安らぐような香りが届く。
「……これは?」
私がぽかんとそう零せば、お部屋の隅から「ウィリスローズから作ったお茶よ」と説明が飛んできた。
そちらに視線を向ければ、そこにはアネットさまがいて。
「ウィリスローズの中には、お菓子とかお茶に出来るものもあるの。……とはいっても、乾燥とかに時間がかかるから、あんまり量産は出来ないし、流通はしないけれどね」
彼女が肩をすくめて、そう教えてくれた。
……確かに、香ってくるのは何処か嗅ぎなれた香り。……そっか、これ、ウィリスローズなんだ。
アネットさまが私の家庭教師をしてくださるようになって、少しが経ち。
迎えたこの日。私は、神官のチェックを受けることとなっていた。
……以前、何度か神官の人と会ったことはあるのだけれど。
今回は、今までのものとは違う。完全な試験だった。
「奥さま。大丈夫ですよ」
ロザリアさんがそう言ってにっこりと笑いかけてくれる。……私は、曖昧に笑うことしか出来なかった。
(今日は、いわば試験だものね。私が失敗すれば、それだけ皆さまに負担がかかってしまう……)
今でも、刻一刻と。土の魔力は失われているのだ。
誰もが、一刻も早い改善を望んでいる。それすなわち、早く私が力をコントロールできるようになって、儀式に取り組む必要があるということ。
「とりあえず、落ち着きましょう。お茶をお持ちしました」
マリンがそう言って、目の前のテーブルにティーセットをおいてくれる。
流れるような動きでポットからカップに紅茶を注ぐ。ふわっとした心が安らぐような香りが届く。
「……これは?」
私がぽかんとそう零せば、お部屋の隅から「ウィリスローズから作ったお茶よ」と説明が飛んできた。
そちらに視線を向ければ、そこにはアネットさまがいて。
「ウィリスローズの中には、お菓子とかお茶に出来るものもあるの。……とはいっても、乾燥とかに時間がかかるから、あんまり量産は出来ないし、流通はしないけれどね」
彼女が肩をすくめて、そう教えてくれた。
……確かに、香ってくるのは何処か嗅ぎなれた香り。……そっか、これ、ウィリスローズなんだ。