【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
第31話 これも、私の一部
「でも、この力も私の一部なのは、間違いないんです」
この力があったからどうこう……ではない。ただ、この力も私という、『シェリル・リスター』を構成している一部なのだ。
「この力がないと、私は私じゃないですから」
ゆるゆると首を横に振って、そう告げる。
私の言葉を聞いたメラニーさんは、一瞬だけぽかんとしていた。でも、すぐに頬を緩めてくれる。
「そう。……だったら、いいわ。あなたが断るのならば、私は無理強いはしない」
「……メラニーさん」
「ただ、そうねぇ。……少しだけ、こっちに来て頂戴」
メラニーさんが、私のことを手招きする。その仕草を見て、少しだけ迷った。だって、彼女に近づいても大丈夫なのかわからなかったから。
……だけど、意を決して足を前に進める。私の顔よりも少し上にあるメラニーさんの顔を、見上げた。
メラニーさんの手が、私の頬に触れる。まるで愛おしいものに触れるかのように、私の頬を撫でた。
「あぁ、本当、愛らしいわ」
彼女の呟きが、耳に届く。
「あの子にそっくり。……もっと、見ていたい。ずっと、見ていたいわ」
何処か寂しそうな声だと思う。けれど、私は彼女の望みを叶えることは出来ない。
だって、私には帰る場所があるから。
「……申し訳、ございません」
私の口から零れた謝罪の言葉に、メラニーさんは曖昧に笑っていた。
これだけ。たったこれだけの言葉で、彼女には全部お見通しだったのだろう。私の中にある決意と気持ちも、全部、全部。
「いいのよ。私は死んだ身。対するあなたは、生きているの。ずっと引き止めているわけにはいかないわ」
「……はい」
「ただ、そうねぇ。土の女神さまにお会いしたら、私のことを伝えてくれると嬉しいわ」
彼女の手が、彼女自身の唇に触れる。お茶目に飛ばされたウィンクに、私は心の底からの笑みを浮かべることが出来た。
この力があったからどうこう……ではない。ただ、この力も私という、『シェリル・リスター』を構成している一部なのだ。
「この力がないと、私は私じゃないですから」
ゆるゆると首を横に振って、そう告げる。
私の言葉を聞いたメラニーさんは、一瞬だけぽかんとしていた。でも、すぐに頬を緩めてくれる。
「そう。……だったら、いいわ。あなたが断るのならば、私は無理強いはしない」
「……メラニーさん」
「ただ、そうねぇ。……少しだけ、こっちに来て頂戴」
メラニーさんが、私のことを手招きする。その仕草を見て、少しだけ迷った。だって、彼女に近づいても大丈夫なのかわからなかったから。
……だけど、意を決して足を前に進める。私の顔よりも少し上にあるメラニーさんの顔を、見上げた。
メラニーさんの手が、私の頬に触れる。まるで愛おしいものに触れるかのように、私の頬を撫でた。
「あぁ、本当、愛らしいわ」
彼女の呟きが、耳に届く。
「あの子にそっくり。……もっと、見ていたい。ずっと、見ていたいわ」
何処か寂しそうな声だと思う。けれど、私は彼女の望みを叶えることは出来ない。
だって、私には帰る場所があるから。
「……申し訳、ございません」
私の口から零れた謝罪の言葉に、メラニーさんは曖昧に笑っていた。
これだけ。たったこれだけの言葉で、彼女には全部お見通しだったのだろう。私の中にある決意と気持ちも、全部、全部。
「いいのよ。私は死んだ身。対するあなたは、生きているの。ずっと引き止めているわけにはいかないわ」
「……はい」
「ただ、そうねぇ。土の女神さまにお会いしたら、私のことを伝えてくれると嬉しいわ」
彼女の手が、彼女自身の唇に触れる。お茶目に飛ばされたウィンクに、私は心の底からの笑みを浮かべることが出来た。