【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
第33話 旅路(1)
試験が終わって、十日が経った。私は一昨日から舗装されていない荒れた道を、馬車で走っている。
車輪が石に躓いたり、車輪がぬかるみに嵌って大変なことになったり。そんな今までにないほどの旅路を送っている。
「少しはマシになりましたかねぇ」
私の対面の座席に腰掛けるロザリアさんが、息を吐いてそう呟く。
確かに、昨日の道に比べれば、今日は全然マシだった。なんでも、昨日の道がここらで一番荒れているとか、なんとか……。
「そもそも、神殿に向かうのにこの道しかないのがおかしいのよ。……もう少し、整えたほうがいいんじゃない?」
ロザリアさんの隣に座るアネットさまが、露骨な溜息をついてそう零した。
この馬車には、私とロザリアさん、それからアネットさまが乗り込んでいる。旦那様とサイラス、神官は別の馬車。
「うーん、どうなんでしょうねぇ、アネットさん。ここら辺は別の貴族が管理しているみたいなので……」
「じゃあその貴族を動かせばいいじゃない。全く、ギルバートってそういうところには目を向けないんだから」
アネットさまはそう言うけれど、旦那様はとてもお忙しくされていた。領民からの要望を叶えるだけでも、相当の時間をかけていた。
それに、辺境を管理されているとはいっても、細かいところはその領地を持つ貴族に任せていらっしゃる。だから、この土地を管理している貴族から助けを求める文書が届かない限り、どうすることもできなかったんだと思う。
「旦那様、お忙しくされていましたから……」
ぷんすかという効果音が聞こえてきそうなアネットさまに、私はそう言ってみる。すると、アネットさまは私に視線を向けてきた。そして少し呆れたような声音で「あのね」と言う。
「言っておくけれど、大概の男なんて甘やかしたらダメになるのよ。……ギルバートのことを甘やかすだけじゃ、ダメよ」
「……甘やかす」
そのつもりはないんだけれど……と思いつつ、苦笑を浮かべる私。アネットさまは、頬杖を突く。
車輪が石に躓いたり、車輪がぬかるみに嵌って大変なことになったり。そんな今までにないほどの旅路を送っている。
「少しはマシになりましたかねぇ」
私の対面の座席に腰掛けるロザリアさんが、息を吐いてそう呟く。
確かに、昨日の道に比べれば、今日は全然マシだった。なんでも、昨日の道がここらで一番荒れているとか、なんとか……。
「そもそも、神殿に向かうのにこの道しかないのがおかしいのよ。……もう少し、整えたほうがいいんじゃない?」
ロザリアさんの隣に座るアネットさまが、露骨な溜息をついてそう零した。
この馬車には、私とロザリアさん、それからアネットさまが乗り込んでいる。旦那様とサイラス、神官は別の馬車。
「うーん、どうなんでしょうねぇ、アネットさん。ここら辺は別の貴族が管理しているみたいなので……」
「じゃあその貴族を動かせばいいじゃない。全く、ギルバートってそういうところには目を向けないんだから」
アネットさまはそう言うけれど、旦那様はとてもお忙しくされていた。領民からの要望を叶えるだけでも、相当の時間をかけていた。
それに、辺境を管理されているとはいっても、細かいところはその領地を持つ貴族に任せていらっしゃる。だから、この土地を管理している貴族から助けを求める文書が届かない限り、どうすることもできなかったんだと思う。
「旦那様、お忙しくされていましたから……」
ぷんすかという効果音が聞こえてきそうなアネットさまに、私はそう言ってみる。すると、アネットさまは私に視線を向けてきた。そして少し呆れたような声音で「あのね」と言う。
「言っておくけれど、大概の男なんて甘やかしたらダメになるのよ。……ギルバートのことを甘やかすだけじゃ、ダメよ」
「……甘やかす」
そのつもりはないんだけれど……と思いつつ、苦笑を浮かべる私。アネットさまは、頬杖を突く。