【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
第37話 女神の策略(1)
儀式が始まる一時間前。
私は身支度を整えて、神殿のすぐ隣にある建物の一室にいた。
これから、私は長く戦うことになる。……それを実感して、ごくりと息を呑む。
神官たちが前準備をしているのだろう。音とか、声とかが微かに聞こえてくる。
(……大丈夫)
震える手を押さえて、何度か深呼吸。
そうすれば、私が待機する部屋の扉がノックされた。
「……はい」
ちょっと上ずった声で返事をすれば、扉が開いて神官の一人が顔を、見せる。
「儀式について、最後の段取りを行いたく」
「……かしこまりました」
私の返答を聞いた神官が、九十度の礼をした後、室内に入ってきた。
そして、ソファーに腰掛ける私のすぐ隣に跪く。
(今の私は『豊穣の女神の依り代』だものね……)
『豊穣の巫女』はいわば『豊穣の女神』から加護を受けた存在であり、それ以上に『女神の依り代』という意味合いも持つらしい。
そのため、今の私は『豊穣の女神』そのものにも似た扱いを受けている。儀式が行われる当日から、終わるまで。私はシェリル・リスターではないということ。
「『依り代』さまの行うことといたしましては……」
名前を呼ばないのも、その一環らしい。
「――と、いうわけでございます」
「……承知、いたしました」
神官の説明に私は深く頷く。そうすれば、神官はさっと立ち上がってもう一度九十度の礼。
私は身支度を整えて、神殿のすぐ隣にある建物の一室にいた。
これから、私は長く戦うことになる。……それを実感して、ごくりと息を呑む。
神官たちが前準備をしているのだろう。音とか、声とかが微かに聞こえてくる。
(……大丈夫)
震える手を押さえて、何度か深呼吸。
そうすれば、私が待機する部屋の扉がノックされた。
「……はい」
ちょっと上ずった声で返事をすれば、扉が開いて神官の一人が顔を、見せる。
「儀式について、最後の段取りを行いたく」
「……かしこまりました」
私の返答を聞いた神官が、九十度の礼をした後、室内に入ってきた。
そして、ソファーに腰掛ける私のすぐ隣に跪く。
(今の私は『豊穣の女神の依り代』だものね……)
『豊穣の巫女』はいわば『豊穣の女神』から加護を受けた存在であり、それ以上に『女神の依り代』という意味合いも持つらしい。
そのため、今の私は『豊穣の女神』そのものにも似た扱いを受けている。儀式が行われる当日から、終わるまで。私はシェリル・リスターではないということ。
「『依り代』さまの行うことといたしましては……」
名前を呼ばないのも、その一環らしい。
「――と、いうわけでございます」
「……承知、いたしました」
神官の説明に私は深く頷く。そうすれば、神官はさっと立ち上がってもう一度九十度の礼。