【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
第38話 女神の策略(2)
……いつだったか。旦那さまも、そんなことをおっしゃっていた。
恐る恐る女神さまの目を見つめる。その目に見つめられていると、背筋にぞくっとしたものが走った。
(……怖い)
頭の中にはっきりと浮かぶ不安と恐怖。足が震えてしまいそうだった。でも、それを必死にこらえる。
「ほう、今回の巫女は相当精神的にたくましいようだ。……ま、そうでなければ、おもしろうない」
女神さまが「よっと」と声を上げて、祭壇に乗り上げる。そのままそこに腰掛けて、私にぐいっと顔を近づけてこられた。
長いまつ毛に縁どられた目が、私を射貫く。
「なぁ、おぬし。『豊穣の巫女』の真の意味を、知っておるかえ?」
問いかけの意味は、わかった。
「……女神さまの、依り代、ですよね」
「おぉ、そうじゃ。わしの依り代。それがおぬしじゃ」
一見すると美しさに似合わない口調だった。それなのに、今はその口調がしっくりときてしまう。
彼女のその神秘めいた美貌が、要因なのだろう。
「よって、『豊穣の巫女』は大切にされる。女神に捧げられる存在でもあるからな」
女神さまが脚を組み直す。ふっと緩めた唇の色っぽさに、同性である私も見惚れた。
「……このウィリス王国は『豊穣の女神』の加護で発展してきた。土、火、水、風、そして光。五つの女神が加護を与えておる。女神が建国の王に出した条件。その中で最も大切にされておるもの、わかるか?」
彼女のきれいな指先が、私の顎をすくい上げた。
弱い力なのに、拒否することは許されない。そんな、仕草。
恐る恐る女神さまの目を見つめる。その目に見つめられていると、背筋にぞくっとしたものが走った。
(……怖い)
頭の中にはっきりと浮かぶ不安と恐怖。足が震えてしまいそうだった。でも、それを必死にこらえる。
「ほう、今回の巫女は相当精神的にたくましいようだ。……ま、そうでなければ、おもしろうない」
女神さまが「よっと」と声を上げて、祭壇に乗り上げる。そのままそこに腰掛けて、私にぐいっと顔を近づけてこられた。
長いまつ毛に縁どられた目が、私を射貫く。
「なぁ、おぬし。『豊穣の巫女』の真の意味を、知っておるかえ?」
問いかけの意味は、わかった。
「……女神さまの、依り代、ですよね」
「おぉ、そうじゃ。わしの依り代。それがおぬしじゃ」
一見すると美しさに似合わない口調だった。それなのに、今はその口調がしっくりときてしまう。
彼女のその神秘めいた美貌が、要因なのだろう。
「よって、『豊穣の巫女』は大切にされる。女神に捧げられる存在でもあるからな」
女神さまが脚を組み直す。ふっと緩めた唇の色っぽさに、同性である私も見惚れた。
「……このウィリス王国は『豊穣の女神』の加護で発展してきた。土、火、水、風、そして光。五つの女神が加護を与えておる。女神が建国の王に出した条件。その中で最も大切にされておるもの、わかるか?」
彼女のきれいな指先が、私の顎をすくい上げた。
弱い力なのに、拒否することは許されない。そんな、仕草。