【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
第7話 浮気疑惑
「クレア。本当に、いいのよ」
私はゆるゆると首を横に振った後、クレアを見つめる。クレアは、その可愛らしい顔を露骨に歪めた。
「旦那様が浮気しているかも、なんて本当に私の想像でしかないの」
「……奥様」
「そ、それにね。浮気しているかもって問い詰めるのも、体力を使うでしょう? 私は、貴女に疲れてほしくないわ」
それっぽい理由を口にして、私はクレアに微笑みかける。……これで、彼女の暴走も止まってくれたらいいのだけれど。
心の中でそう思っていれば、クレアは何故か感動したような目で私を見つめてくる。……え?
「本当に奥様はお心が広いですね。……任せてください! このクレア、旦那様をぼこぼこに……いえ、問い詰めてきますわ!」
「い、いや、だから、大丈夫で――」
私が恐る恐る手を伸ばす。クレアは、今すぐにでも部屋を飛び出しそうだ。さながら、暴走する馬車みたい。……って、こんなこと思っている場合じゃないわ。
(そもそも、旦那様だって私が浮気を疑っていると知れば、ショックを受けてしまわれるわ……!)
それは、浮気していなかった場合、だけれど。
けど、私は旦那様を信じていたい。私だけを愛してくれているって、信じていたいのよ……。
「クレアっ! 待って!」
部屋を飛び出そうとするクレアを、必死に呼び止める。彼女が振り返る。……さぁ、なんて言って止めようか?
(そもそも、こうなったのは私が軽率に浮気なんて口にしたからだわ。……責任は、私にもある)
ぎゅっと手のひらを握って、私はクレアの目をまっすぐに見つめて、言葉を出す。
「――私も、一緒に行きたいわ」
私はゆるゆると首を横に振った後、クレアを見つめる。クレアは、その可愛らしい顔を露骨に歪めた。
「旦那様が浮気しているかも、なんて本当に私の想像でしかないの」
「……奥様」
「そ、それにね。浮気しているかもって問い詰めるのも、体力を使うでしょう? 私は、貴女に疲れてほしくないわ」
それっぽい理由を口にして、私はクレアに微笑みかける。……これで、彼女の暴走も止まってくれたらいいのだけれど。
心の中でそう思っていれば、クレアは何故か感動したような目で私を見つめてくる。……え?
「本当に奥様はお心が広いですね。……任せてください! このクレア、旦那様をぼこぼこに……いえ、問い詰めてきますわ!」
「い、いや、だから、大丈夫で――」
私が恐る恐る手を伸ばす。クレアは、今すぐにでも部屋を飛び出しそうだ。さながら、暴走する馬車みたい。……って、こんなこと思っている場合じゃないわ。
(そもそも、旦那様だって私が浮気を疑っていると知れば、ショックを受けてしまわれるわ……!)
それは、浮気していなかった場合、だけれど。
けど、私は旦那様を信じていたい。私だけを愛してくれているって、信じていたいのよ……。
「クレアっ! 待って!」
部屋を飛び出そうとするクレアを、必死に呼び止める。彼女が振り返る。……さぁ、なんて言って止めようか?
(そもそも、こうなったのは私が軽率に浮気なんて口にしたからだわ。……責任は、私にもある)
ぎゅっと手のひらを握って、私はクレアの目をまっすぐに見つめて、言葉を出す。
「――私も、一緒に行きたいわ」