【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
閑話2 最善の方法(ギルバート視点)
◇
「……旦那様」
シェリルとクレアが出て行ったのを見計らったかのように、サイラスが声をかけてくる。
だからこそ、俺は「……あぁ」と小さく返事をした。
「あの場ではああ言ったが、俺は本気でシェリルにこのことを教えたくないと、思っているんだよな」
慌ててしまった手紙を引っ張り出す。そこについたシーリングスタンプの家紋は――このウィリス王国の王家、ウィリス家のものだ。
中身にはつい先日俺が送った手紙の返事だ。差出人は俺の悪友である王太子。
「……やはり、そうでございましたか」
サイラスがそう声をかけてくる。なので、俺はただ頷いた。そして、手元の手紙を見つめる。
「殿下は、やはりシェリルに祈りをしてほしいらしい」
どうやら、この土の魔力が枯渇する現象はリスター伯爵領だけではないらしい。あちこちから報告が上がっていると。
なので、出来ればシェリルに祈りをしてほしいと。そう、綴られていた。
(命令しないのが、あいつらしいな)
そう思って、ふっと口元を緩める。
このウィリス王国の王太子は、一言で表せば傲慢で嫌な奴だ。けれど、その内情はとても人をよく見ている。人のことを良く見て、適材適所に割り振ることが出来る。ついでに言えば、口は悪いが態度はそこまで悪くない。
傲慢で嫌な奴というのは、親しい間柄の人間に見せる、まぁ本性みたいなものだ。……こう言ったら、余計に性質が悪いな。
「今はあちこち、枯渇が起きているのは国の三分の一にも及んでいないらしい」
「……ほぅ」
「が、このままだと広がるのも時間の問題だ。……広がってから祈る方が、大変だとは思うんだが……」
それでも、どうしても踏ん切りがつかない。
「……旦那様」
シェリルとクレアが出て行ったのを見計らったかのように、サイラスが声をかけてくる。
だからこそ、俺は「……あぁ」と小さく返事をした。
「あの場ではああ言ったが、俺は本気でシェリルにこのことを教えたくないと、思っているんだよな」
慌ててしまった手紙を引っ張り出す。そこについたシーリングスタンプの家紋は――このウィリス王国の王家、ウィリス家のものだ。
中身にはつい先日俺が送った手紙の返事だ。差出人は俺の悪友である王太子。
「……やはり、そうでございましたか」
サイラスがそう声をかけてくる。なので、俺はただ頷いた。そして、手元の手紙を見つめる。
「殿下は、やはりシェリルに祈りをしてほしいらしい」
どうやら、この土の魔力が枯渇する現象はリスター伯爵領だけではないらしい。あちこちから報告が上がっていると。
なので、出来ればシェリルに祈りをしてほしいと。そう、綴られていた。
(命令しないのが、あいつらしいな)
そう思って、ふっと口元を緩める。
このウィリス王国の王太子は、一言で表せば傲慢で嫌な奴だ。けれど、その内情はとても人をよく見ている。人のことを良く見て、適材適所に割り振ることが出来る。ついでに言えば、口は悪いが態度はそこまで悪くない。
傲慢で嫌な奴というのは、親しい間柄の人間に見せる、まぁ本性みたいなものだ。……こう言ったら、余計に性質が悪いな。
「今はあちこち、枯渇が起きているのは国の三分の一にも及んでいないらしい」
「……ほぅ」
「が、このままだと広がるのも時間の問題だ。……広がってから祈る方が、大変だとは思うんだが……」
それでも、どうしても踏ん切りがつかない。