【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
第20話 あなたのお姫様に、なりたい
 ◇

 それからの私の日中の過ごし方は、魔力のコントロールの訓練が主になった。

 この儀式は繊細なもの。魔力の量をほんの少しの単位でコントロールする必要があるそうで。

 だから、私はその繊細なコントロールを身に着ける必要があった。

 合わせ、繊細ということはそれだけ神経を使うということ。さらには魔力が体内から一定数なくなるということから、夜は倒れるように眠ってしまう。……なんていうか、伯爵夫人としての仕事が全くできなくなってしまっていた。

「……リル、シェリル」
「……ぁ」

 夫婦の寝室。ソファーでうとうとしていた私を、旦那様が覗き込んでこられた。

 ハッとして、自身の頬を叩くものの、眠いものは眠くて。ぼうっとして旦那様を見つめてしまう。

「その……申し訳、ございません」

 慌てて頭を下げる私に、旦那様はゆるゆると首を横に振ってくださる。

「シェリルが頑張っているのは、知っている。……ゆっくりしてくれ」

 旦那様が、私の背中を規則正しく叩いてくださる。その所為なのか、眠気がピークに達してしまいそうになって……。

「っつ」

 自然と、旦那様の肩に頭を預けてしまう。彼が、少しだけ震えたのがわかった。
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