【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
第22話 少しでも
ゆっくりと浮上する意識。目を開ければ、見慣れた天井が視界に入った。
(……私、また)
ずきずきと痛む頭を押さえて、少しだけ身体を起こす。
視線だけで周囲を見渡して、なんというか申し訳なさを抱いた。倒れること自体は、もう日常的なものと化している。けれど、儀式が近づいているのに倒れるなんて……という気持ちが、あった。
「奥様! お目覚めになられましたのね!」
「……えぇ」
近くに控えていた侍女が、私のほうに駆け寄ってくる。彼女は二ヶ月ほど前に雇った、新しい侍女。クレアとマリンに付きつつ、日々仕事を学んでいる。
「お待ちくださいませ、今、クレアさんとマリンさんを……!」
そう言って、彼女が駆けだそうとするよりも早く、扉が開く。……クレアかマリン? それとも、ロザリアさん?
そんな風に思ってそちらに視線を向けると、そこにはまさかの――旦那様がいらっしゃって。
「シェリル。……目が、覚めたのか」
ほっとしたような様子で、旦那様が早足でこちらに来てくださる。そのまま私の額に手を当てて、熱を測るような仕草をされた。
……熱は、ないと思うんだけれど。
「悪いな。……少し、席を外していて」
「い、いえ、お構いなく……」
少し席を外していたということは、もしかして旦那様は私の看病をしてくださっていたのだろうか?
一瞬そう思うけれど、自ら問いかけにくいことで。視線を彷徨わせていると、旦那様が「こほん」と咳ばらいをされた。
(……私、また)
ずきずきと痛む頭を押さえて、少しだけ身体を起こす。
視線だけで周囲を見渡して、なんというか申し訳なさを抱いた。倒れること自体は、もう日常的なものと化している。けれど、儀式が近づいているのに倒れるなんて……という気持ちが、あった。
「奥様! お目覚めになられましたのね!」
「……えぇ」
近くに控えていた侍女が、私のほうに駆け寄ってくる。彼女は二ヶ月ほど前に雇った、新しい侍女。クレアとマリンに付きつつ、日々仕事を学んでいる。
「お待ちくださいませ、今、クレアさんとマリンさんを……!」
そう言って、彼女が駆けだそうとするよりも早く、扉が開く。……クレアかマリン? それとも、ロザリアさん?
そんな風に思ってそちらに視線を向けると、そこにはまさかの――旦那様がいらっしゃって。
「シェリル。……目が、覚めたのか」
ほっとしたような様子で、旦那様が早足でこちらに来てくださる。そのまま私の額に手を当てて、熱を測るような仕草をされた。
……熱は、ないと思うんだけれど。
「悪いな。……少し、席を外していて」
「い、いえ、お構いなく……」
少し席を外していたということは、もしかして旦那様は私の看病をしてくださっていたのだろうか?
一瞬そう思うけれど、自ら問いかけにくいことで。視線を彷徨わせていると、旦那様が「こほん」と咳ばらいをされた。