【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
第23話 ふつつかな妻ですが
「……サイラス、少し声のボリュームを下げろ」
そんなサイラスを一瞥して、旦那様がそう言葉を返す。すると、サイラスは「申し訳ございません」と言って深々と頭を下げた。
「ですが、本当に至急お話したいことが……」
「……そうか。シェリル、俺は少し話をしてくる。ゆっくりとしていてくれ」
旦那様は私の頭を軽く撫でて、サイラスのほうに行かれた。
お二人が出て行くと、急に静かになったような気がしてしまう。
(寂しい、かも……)
身体が弱っていると、精神もそちらに引っ張られる。だからなのか、私は確かな寂しさを覚えてしまった。
「……そういえば、アネット様はどうなさっているのかしら?」
ふと、そう思った。
アネット様と、もう一度でいい。……きちんと、お話がしたい。
そう思うのは、贅沢なのだろうか。
「ううん、贅沢なんかじゃない……。私は、彼女の力になりたい」
正直、アネット様のことが好きか嫌いかで問われたら嫌いだ。だから、これは親切心なんかじゃない。
……このリスター伯爵家から、離れてもらうための行動だった。
「アネット様の問題を片付ければ、きっとみんなゆっくりと出来る」
使用人たちがずっと気を張る必要もなくなるし、私も一つ肩の荷が下りる。
このままアネット様を軽くあしらい続けることも出来ると思う。だけど、それだと結局堂々巡り。なにも解決しない。
「……きちんとするわ。頑張るわ」
そう小さく呟いたとき。扉が開いて、旦那様が戻ってこられた。旦那様は何処か疲れたような面持ちで、「はぁ」とため息をつかれる。
そんなサイラスを一瞥して、旦那様がそう言葉を返す。すると、サイラスは「申し訳ございません」と言って深々と頭を下げた。
「ですが、本当に至急お話したいことが……」
「……そうか。シェリル、俺は少し話をしてくる。ゆっくりとしていてくれ」
旦那様は私の頭を軽く撫でて、サイラスのほうに行かれた。
お二人が出て行くと、急に静かになったような気がしてしまう。
(寂しい、かも……)
身体が弱っていると、精神もそちらに引っ張られる。だからなのか、私は確かな寂しさを覚えてしまった。
「……そういえば、アネット様はどうなさっているのかしら?」
ふと、そう思った。
アネット様と、もう一度でいい。……きちんと、お話がしたい。
そう思うのは、贅沢なのだろうか。
「ううん、贅沢なんかじゃない……。私は、彼女の力になりたい」
正直、アネット様のことが好きか嫌いかで問われたら嫌いだ。だから、これは親切心なんかじゃない。
……このリスター伯爵家から、離れてもらうための行動だった。
「アネット様の問題を片付ければ、きっとみんなゆっくりと出来る」
使用人たちがずっと気を張る必要もなくなるし、私も一つ肩の荷が下りる。
このままアネット様を軽くあしらい続けることも出来ると思う。だけど、それだと結局堂々巡り。なにも解決しない。
「……きちんとするわ。頑張るわ」
そう小さく呟いたとき。扉が開いて、旦那様が戻ってこられた。旦那様は何処か疲れたような面持ちで、「はぁ」とため息をつかれる。