【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
第24話 私の好きな人は、
アネット様とのお話の機会は、割とすぐに用意された。
リスター伯爵家の庭園。そこで、私はアネット様と向き合っている。もちろん、私の隣には旦那様がいてくださる。彼は眉間にしわを寄せているけれど、今のところお話を妨害するつもりはないみたいだった。
「……それで、もう一度お話を……って、どういうつもり?」
アネット様のその言葉に、私は息を呑む。けれど、すぐに気を持ち直す。
「いえ、個人的にしっかりとお話がしたく思いまして。以前は、しっかりとお話が出来なかったので……」
肩をすくめながらそう言えば、アネット様は露骨にため息をつかれた。まるで「困った子供」とでも言いたげな眼差しで、私を見つめてこられる。……その眼差しに、微かな違和感。
(以前は、明確な敵意にも似たものを持っていたはずなのに……)
何処か、その感情が和らいでいるような気がした。
が、今はそれを指摘している場合じゃない。そう思い、私は背筋を正してアネット様に向き直る。
彼女の座り方は、とても美しい。さすがは元貴族の女性……というべきか。きっと、しっかりとした淑女教育を受けていたのだと、思った。……だって、元々リスター伯爵夫人になるべきお方だったのだもの。
「私は、アネット様が明確に私を嫌っているとは、思えないのです」
淡々とそう言ってみる。瞬間、旦那様の視線が私に向けられた。アネット様も、目を見開かれている。
気が付かないふりをして、言葉を続ける。
「あなたさまは、私のことを嫌っている……というよりは、旦那様のほうになにかしらの感情を向けているのでは……と、思います」
それは完全な勘だった。
ただ、アネット様は私が倒れる際に戸惑ったような目をされていた。
もしも、本当に私を嫌っているのならば。彼女は、もっと勝ち誇ったような笑みを浮かべるのではないだろうか?
リスター伯爵家の庭園。そこで、私はアネット様と向き合っている。もちろん、私の隣には旦那様がいてくださる。彼は眉間にしわを寄せているけれど、今のところお話を妨害するつもりはないみたいだった。
「……それで、もう一度お話を……って、どういうつもり?」
アネット様のその言葉に、私は息を呑む。けれど、すぐに気を持ち直す。
「いえ、個人的にしっかりとお話がしたく思いまして。以前は、しっかりとお話が出来なかったので……」
肩をすくめながらそう言えば、アネット様は露骨にため息をつかれた。まるで「困った子供」とでも言いたげな眼差しで、私を見つめてこられる。……その眼差しに、微かな違和感。
(以前は、明確な敵意にも似たものを持っていたはずなのに……)
何処か、その感情が和らいでいるような気がした。
が、今はそれを指摘している場合じゃない。そう思い、私は背筋を正してアネット様に向き直る。
彼女の座り方は、とても美しい。さすがは元貴族の女性……というべきか。きっと、しっかりとした淑女教育を受けていたのだと、思った。……だって、元々リスター伯爵夫人になるべきお方だったのだもの。
「私は、アネット様が明確に私を嫌っているとは、思えないのです」
淡々とそう言ってみる。瞬間、旦那様の視線が私に向けられた。アネット様も、目を見開かれている。
気が付かないふりをして、言葉を続ける。
「あなたさまは、私のことを嫌っている……というよりは、旦那様のほうになにかしらの感情を向けているのでは……と、思います」
それは完全な勘だった。
ただ、アネット様は私が倒れる際に戸惑ったような目をされていた。
もしも、本当に私を嫌っているのならば。彼女は、もっと勝ち誇ったような笑みを浮かべるのではないだろうか?