【完結】年の差十五の旦那様Ⅲ~義妹に婚約者を奪われ、冷酷な辺境伯の元に追いやられましたが、毎日幸せです!~
第25話 変化
そう思っていれば、お隣の旦那様がごほんと露骨に咳ばらいをされた。
そちらに視線を向ける。気まずそうな旦那様が、ぽりぽりと頬を掻かれていた。
「……ギルバート?」
アネット様が旦那様のお名前を呼ぶ。それを聞いてか、旦那様は「はぁ」と露骨にため息をつかれる。
「俺も別に心が広いわけじゃない。それに、お前を許すと決めているわけじゃない」
まるで何処か言葉を探すような。そんな風に旦那様が口をもごもごと動かしている。その姿がなんだか可愛いなって思う私は、末期なんだろうな。
「ただ、まぁ。お前が考えなしに動くような奴じゃないことは……思い、出せた」
「……そう」
旦那様のお言葉に、アネット様が相槌を打った。かと思えば、彼女は視線をテーブルに落とす。
その目が寂しそうに見えるのは、気のせいじゃないと思う。
「……別にね、あなたたちの仲を引き裂こうっていうつもりじゃないのよ」
呆れたような態度で、アネット様がそう言う。そこに、毒気なんてない。私のことを見る目は、困った妹を見るような目に感じられる。……彼女が、くすっと笑っていた。
「私、これでもギルバートの元婚約者だから。……責任、感じてただけよ」
「責任?」
「そう。あなたが独身をこじらせるようになったのは、私が原因でしょ?」
肩をすくめてそう言うアネット様。旦那様は、少しためらって頷く。
「だから、本当に少し。ちょっとだけ。……責任、感じてたのよ。ま、あなたが信じるかは別問題だけど」
投げやりみたいな声。……けれど、なんだかすっきりとしたようにも聞こえるのは気のせいじゃない。
そちらに視線を向ける。気まずそうな旦那様が、ぽりぽりと頬を掻かれていた。
「……ギルバート?」
アネット様が旦那様のお名前を呼ぶ。それを聞いてか、旦那様は「はぁ」と露骨にため息をつかれる。
「俺も別に心が広いわけじゃない。それに、お前を許すと決めているわけじゃない」
まるで何処か言葉を探すような。そんな風に旦那様が口をもごもごと動かしている。その姿がなんだか可愛いなって思う私は、末期なんだろうな。
「ただ、まぁ。お前が考えなしに動くような奴じゃないことは……思い、出せた」
「……そう」
旦那様のお言葉に、アネット様が相槌を打った。かと思えば、彼女は視線をテーブルに落とす。
その目が寂しそうに見えるのは、気のせいじゃないと思う。
「……別にね、あなたたちの仲を引き裂こうっていうつもりじゃないのよ」
呆れたような態度で、アネット様がそう言う。そこに、毒気なんてない。私のことを見る目は、困った妹を見るような目に感じられる。……彼女が、くすっと笑っていた。
「私、これでもギルバートの元婚約者だから。……責任、感じてただけよ」
「責任?」
「そう。あなたが独身をこじらせるようになったのは、私が原因でしょ?」
肩をすくめてそう言うアネット様。旦那様は、少しためらって頷く。
「だから、本当に少し。ちょっとだけ。……責任、感じてたのよ。ま、あなたが信じるかは別問題だけど」
投げやりみたいな声。……けれど、なんだかすっきりとしたようにも聞こえるのは気のせいじゃない。