それは麻薬のような愛だった
壊れた心
それが2年前の出来事。雫は今日、二十歳の誕生日を迎えていた。
「雫!」
大学生活は思った以上に楽しく、新天地で新たな友達を作り数ヶ月前には初めての彼氏もできた。
「ごめん、待たせた?」
「ううん、私もさっき着いたところだから」
そして今日は雫の誕生日を祝う為にその彼氏と外食の約束をしていた。
「色々食べたいかと思ってシェア出来るコースにしてみたんだけど、良かった?」
「そうなんだ。ありがとう、嬉しい!」
選んだ店は雫の好きなイタリアンのお洒落なお店で、今日のためにわざわざ予約をしてくれていた。
彼氏の颯人とはサークルで出会った。1年間友人として付き合いを続けてゆっくりと距離を縮め、告白も颯人から「ずっと好きでした」と甘酸っぱい言葉ももらった。
颯人はとても穏やかな性格だ。優しく、雫だけをとても好きでいてくれた。とても真摯で、雫もそんな颯人の事が好きだった。
「素敵なお店だね。わざわざ調べてくれたの?」
「うん。というか、バイト先の先輩にオススメだって教えてもらえた。休日はデザートバイキングもやってるらしいよ」
「そうなんだ。じゃあ今度はお昼に一緒に来よう」
にこりと微笑めば赤くなる頬。颯人は本当に雫を大事にし、そんな誠実なところに雫はとても惹かれていた。