悪役令嬢と誤解され王子から婚約破棄を言い渡されましたが私にどうしろというのでしょう?
第一章 ジェリーナ

身に覚えのない濡れ衣を理由に婚約破棄を言い渡されましたがバカバカしいので何も言わなくてもいいですか?

今日のアルは少し伸びた美しい金髪を1つに結んでいる。
卒業パーティーのため、ウルティナ国の紋章入りの正装をしていた。
黒を基調に、黄金の刺しゅうが施されていて、金髪のアルに良く似合ってる。

その横で、純白のドレスを身に着けたリリアが私を見ていた。
彼女は薄茶色の髪をアップにしている。
髪飾り、ネックレス、イヤリングには美しい宝石がたっぷり使われていた。
リリアの家柄では、到底手に入らないような高級品だ。
もしかしなくても、アルがプレゼントしたことがすぐにわかった。

今日の私も純白のドレスを着ている。
でも、リリアのようにプリンセスラインでレースとフリルたっぷりのデザインとは対照的で、体のラインがきれいに出るスリムなデザイン。
半年前にウルティナ王から贈られたものだった。
腰まで届く自慢の黒髪はハーフアップにした。

リリアはアルの後ろに隠れながら、深い紺色の大きな瞳で私の様子をうかがってる。
まるで勝ち誇っているように見えるのは、私の気のせいかしら。

「よく来てくれたね。ジェリーナ。話はすぐに終わるが、とりあえず座ってくれ」

アルは尊大な態度で私に言った。
以前はジェリーと愛称で呼んでくれていたけど、ここ最近はジェリーナと呼ぶ。
名前を呼ばれる機会は殆どなくなっていたけど。

とりあえず、言われた通り私は素直にソファに座った。
アルも向かいのソファに腰を下ろした。

「リリア、おいで」

アルは自分のすぐ隣をリリアに示す。

「いえ…私はこちらに…」

リリアはアルに従わず、ソファから離れてブライの横に移動した。

わざとらしい…。

アルは少し不満そうな表情を見せ、そのままの顔で私と向き合った。
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