悪役令嬢と誤解され王子から婚約破棄を言い渡されましたが私にどうしろというのでしょう？

もう我慢の限界でブチ切れちゃったんですけど！

あ…、アホ王子が泣き出した。
私より先に泣くなよ。

「アル！あなたはこの国の王となる人。こんなことで泣いてはいけませんわ！」

げげっ！
ド真面目女キビシー！
今このタイミングでそれ言う？

「リリア様も、王族を侮辱してただで済むと思ってはいませんわよね？」

「だから、そーゆーところ！」

私はド真面目女をビシィ！と指さした。

「どこまでも上からですよね？
アルノート様よりジェリーナ様の方がずっと、特権意識バリバリ！
なんで泣いてる人にそんな厳しいこと言えるんですか？
それ、公衆の面前で言えます？
最初、アルノート様は婚約破棄の宣言を卒業パーティーでするって言っていたんですよ！？」

ド真面目女は表情をこわばらせた。
私との噂を放置して、アホ王子に何も働きかけなかったこの人は、きっと今まで自分に自信があったんだろう。

「もちろん、全力で止めましたけど！
卒業パーティーでこんな事態になったら、アルノート様もジェリーナ様も、そして私も大ヒンシュクでしょ？
誰が見ても非常識な流れですから！
アルノート様は血迷ったとささやかれ、私は王子をたらしこんだと濡れ衣を着せられ、そしてジェリーナ様は婚約破棄のレッテルを貼られ、もう最低最悪なことになるだけ。
当然国王も黙っていないでしょうし、その先考えただけで恐ろしい…。
まだアルノート様とジェリーナ様は大きな後ろ盾がありますからマシでしょうけど、私は実家と共に転落決定！
だから、せめて人目に触れないように、個室で話すようにアルノート様を説得したんです。
ギリギリまで『ジェリーナに罰を与える』とか言ってましたけどねっ！」

事実を一気にまくしたてる。
隠してやる思いやりなど、もう持てなかった。