悪役令嬢と誤解され王子から婚約破棄を言い渡されましたが私にどうしろというのでしょう?

事態を最悪にした自分のバカさ加減に涙が出てくるんですけど!

「な、なんということだ…」

アホ王子がガクッと膝をつく。
とりあえず暴れなくて良かった…。

「いっそ、遊びの女だと思ってくれれば良かったんですけど、やっぱり好きじゃない人とそういうことするのは無理で、拒否ってたら、そこがまたアルノート様のツボにハマったらしく…。
清純可憐なイメージ抱かれて…、でもアルノート様。これが私の本性なんです」

私はアホ王子に歩み寄る。
どうかわかって。
あなたが求婚していたのは、あなたの妄想世界の住人なの。
本当の私は、超毒舌だし追い詰められるとキレるし打算的で嫌な女なの。

「アルノート様が私に抱いている天使のような女の子は、演技でしかありません。
私に国を背負う能力も根性もないばかりか、アルノート様を優しく癒し続ける愛情もないんです。
私にあるのは、ただただこの事態を回避したいという打算です。
私の願いは、アルノート様とジェリーナ様の婚約継続のみなんです」

「リ…」

「ふざけないでくださる!?」

ずっと黙っていたド真面目女が叫んだ。
まぁ…そうだよね。
何を見せられてる?って感じだよね。

「こんな侮辱は人生初めてですわ!
なぜ、他の女性を愛している人と結婚しなければならないんですの!?
しかも、婚約破棄を言い渡されているのに!
これまでの努力も踏みにじられて!」

確かにそうなんだけど。
だからって私に問題丸投げされても困る!
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