悪役令嬢と誤解され王子から婚約破棄を言い渡されましたが私にどうしろというのでしょう?

僕に泣いて許しを乞わないならお別れだ!

明日は卒業パーティーだ。
準備は既に整っている。
しかし、眠りにつこうとして、「本当にこれで良いのか」という迷いが生じた。
もしかして、僕は今とても軽率なことをしているのだろうか…。

リリアと本格的に話をするようになって、まだ2カ月程度だ。
彼女の良さを知るには充分な時間だと思う。
しかし、僕の結婚相手としてウルティナの王妃という立場に耐えられるのか…。
僕が守ると決意したが、不安が過ぎる。

そして、ジェリーナだ。
彼女とは子供のころからの付き合いになる。
学園生活を経て、ジェリーナが如何に冷たい心の持ち主なのかわかったが、国を背負うものとしては必要な冷酷さなのかもしれない。

それでも、僕はリリアが好きだった。
やはり、僕にはリリアしかいない。
いや、しかし…。

思考は堂々巡り。
気付けばもう日付が変わっていた。

ジェリーナがリリアのように優しく可愛ければ、こんなに悩まずに済んだはずだ。
眠れない苛立ちの矛先がジェリーナに向かう。
明日、僕から婚約破棄を言い渡されたら、ジェリーナはどんな顔をするだろう。
泣きながら「考え直して」と、少しは可愛い反応が返ってくるだろうか。
もしも、ジェリーナが自分の態度を改めてくれるなら、婚約破棄を考え直してもいいかもしれない。
ジェリーナが自分の非を素直に認めるなら、僕は全てを水に流そう。
僕は寛大な王になる。
リリアもきっとわかってくれるだろう。
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