ヴィスタリア帝国の花嫁Ⅱ 〜婚約破棄された小国の公爵令嬢は帝国の皇子に溺愛される〜
3.予期せぬ光景
シオンがエリスに『とあるお願い』をしてから、早数刻。
仕事を終えたアレクシスは、セドリックを引き連れてエメラルド宮に帰宮していた。
だがどういうわけか、いつもならあるはずのエリスの出迎えがない。
侍従に「エリスはどうした」と尋ねると、「お部屋でお休みになっておられます」と返ってくる。
「休んでいる? 具合でも悪いのか?」
「いえ。そういうわけではないのですが……」
「……?」
何とも歯切れの悪い返事に、アレクシスは眉をひそめた。
余程言いにくい事情なのだろうか。
気になったアレクシスは、すぐさまエリスの部屋へと向かった。
するとそこには、全く想像もしない光景が広がっていて――。