ヴィスタリア帝国の花嫁Ⅱ 〜婚約破棄された小国の公爵令嬢は帝国の皇子に溺愛される〜

46.愛と嫉妬と独占欲



 それからしばらく後、エメラルド宮に戻ったエリスは、広々とした湯舟に太ももまでを浸かりながら、身を硬直させていた。

 そんなエリスのすぐ後ろには、こちらも同じく脚だけを湯舟に入れ、エリスの背中を射るように見つめるアレクシスの姿がある。

 つまり二人は共に風呂に入っているのだが、未だこの状況が飲み込めないエリスは、緊張と羞恥心のあまり、どうにかなってしまいそうだった。


(確かに、殿下の言葉に頷いたのはわたしだわ。でもまさか、こんなことになるなんて……)


 エリスは今にも沸騰しかけた頭で、これまでの経緯を思い出す――。
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