【完結】ヴィスタリア帝国の花嫁Ⅱ 〜婚約破棄された小国の公爵令嬢は帝国の皇子に溺愛される〜
65.クロヴィスの思惑
「参りました、兄上」
「来たか。まぁ座れ」
一週間ぶりに会うクロヴィスは、いつになく上機嫌な様子だった。
表情などは普段と何ら変化はないが、通常目を合わせるだけで走る緊張感を、今日は感じない。
その理由はおそらく、ルクレール侯爵の件が片付いたからなのだろう。
(……兄上の目が笑っている。余程上手く事が運んだようだな)