ヴィスタリア帝国の花嫁Ⅱ 〜婚約破棄された小国の公爵令嬢は帝国の皇子に溺愛される〜

19.二年前の事件


 一方、ところ変わってその日の夕方、とある宿屋の一室で夕食前の軽食をつまんでいたアレクシスに、セドリックがこのように切り出した。


「ところで殿下。二年前、オリビア嬢といったい何があったのですか? そろそろお話しくださってもいいのでは?」――と。

 するとそれを聞いたアレクシスは――全く予期していなかったセドリックからの問いに手を止めて――表情のみならず、身体ごと硬直した。

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