整形ストーカー
隠し味
お味噌汁の匂いがしてきて、私は目をさました。
ベッドサイドのテーブルからスマホを取って時刻を確認すると朝の9時だ。
その時間が信じられなくて目をこすって確認し直してみたけれど、変わらない。
遅刻だ!
と、慌ててベッドから飛び降りてから、今日は休日であることを思い出した。
「ふぅ。ビックリした」
時間的にはもう少し眠ってもいいけれど、キッチンから流れてくる匂いに眠っている場合ではないと起き出す。
パジャマ姿のままで出ていけば、案の定雪菜が朝食を作ってくれているところだった。
「ごめんね雪菜。寝坊しちゃった」
慌てて手を洗ってキッチンに立つ。
雪菜の手元を見るとお味噌汁はすでに完成していた。
「まだ寝ててもよかったのに」
「よくないよ。私居候なんだから」
そう言うと雪菜はどこか怒ったような、寂しそうな顔をする。
雪菜としてはもっと頼りにしてほしいのかもしれないけれど、そういうわにもいかないと思っている。
「この前気絶したんだから、ゆっくりしてなきゃ」
「あはは。何日も前のことじゃん。そう大丈夫だよ」
あの時は怜也が別にいると思ってパニックになってしまった。
だけど今はもう大丈夫だ。