整形ストーカー
職業訓練校
救出されたあとは慌ただしくて毎日なにがあったのかあまりよく覚えていない。
だけど私は数週間入院して沢山検査を受けた。

その間に栄養のある食事を取っていただめ、減っていた体重も半分ほど戻ってきた。
「本当に、お世話になりました」

退院日に迎えに来てくれたお母さんの髪色が黒色になっていたことには一番驚いた。
「娘が危険な目に遭ってたのに、私全然気が付かなかった。ごめんね」

帰りのタクシーの後部座席でお母さんは私をずっと抱きしめたまま、何度もごめんねを繰り返した。
だけど謝るのは私の方だ。

顔だけで判断してよくわからない人と付き合って、こんなことになってしまった。
両親や友達にはひどく心配かけてしまったし、心の傷はそう簡単には消えてくれそうにない。

「あいつは逮捕されたんだよね?」
私が救出されたその日の家に怜也は逮捕されたと聞いていた。

だけど私は何度も同じ質問を繰り返した。
「そうよ。もう大丈夫だからね」
その言葉を聞かないと、どうしても安心できなくなるときがあったからだ。

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