整形ストーカー
合コン
しばらく新生活に慣れるまで時間が必要だった。
慣れない土地。
慣れない勉強。

それでもなんとか頑張れたのは仲良くなった雪菜の存在が大きかった。
「さっきの授業の意味わかった?」

「全然わかんない」
そうやってふたりで笑いあった後、わりと本気で勉強をして苦手を克服したりもした。

せっかく自分で選んで道だ。
中途半端なことはしたくない。
そんな生活も3ヶ月ほど続いて慣れてきたとき、ご機嫌そうな雪菜が教室で声をかけてきた。

「ねぇ、今日合コンに誘われたんだけど、一緒に行かない?」
ご機嫌の理由はそれだったのかと納得しつつも、私は左右に首を振った。

「それはやめておこうかな。勉強したいし」
親元を離れていれば自然とそういう誘いも多くなることはわかっていた。

だけど恋愛は懲り懲りだし、行くつもりもない。
「えぇ、千尋なら絶対来てくれると思ってたのにぃ!」
雪菜が心底残念そうに声を上げる。

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