鬼縛る花嫁~虐げられ令嬢は罰した冷徹軍人に甘く激しく溺愛されるが、 帝都の闇は色濃く燃える~
重なる想い
要の寝室へ連れて来られた鎖子。
薄明かりの中で、要にベッドで優しく押し倒された。
「今日もできるだけ……優しくしたいんだが、理性が崩壊しそうだ」
要の紅色の瞳が、切なく鎖子を見つめる。
もう、鎖子の身体も疼いて二人の熱い吐息が混ざりあった。
「……要様のしたいように……なさってください……」
「お前は……全く……本当に可愛い」
「鎖の儀のあと……触れてもらえなくって……私の身体や、私の態度に何かご不満があったのかと不安でした……」
「不満? 不満どころか……俺は、一度目で術が完了したのに朝まで何度も求めてしまったから……嫌われてしまったんじゃないかと内心かなり焦っていた……」
要が珍しく、ばつが悪そうな顔をする。
冷徹と言われている要が、内心焦っていただなんて信じられない。
「き、嫌いになんかなりません……術が一度で? そうだったんですね。私、何もわからなくて……」
「鎖の儀のあと、俺がどれだけ我慢したか……でもそれがお前を不安にさせていたんだな……すまなかった」
「だから今日はいっぱい……鎖の儀の時のようにしてください……」
「鎖子は俺の正気を失わせたいらしいな」
「えっ」
「可愛いという事だ……愛している鎖子」
「要様……っ。あ、愛しています……んっ」
鎖の儀ではない、愛し合う二人の夜。
愛を囁き、何度も求め合う。
冷たい雨がまた降る音が聞こえたが、要の腕と触れる肌の温かさにすがって鎖子は眠りについた。
「ん……」
まだ薄暗い朝方。
気付いた時には、要は隣にはいない。
不安が過ぎった。
だが、ガウンを羽織りスリッパを履いて書斎に行くと机で書類を見ている要がいた。
「鎖子。まだ起きるには、早いぞ」
要は鎖子の元へ来ると、ストールを肩にかけてくれた。
「おはようございます要様。隣にいなかったので不安になってしまって……」
「おはよう鎖子。ごめん。不安にさせてしまったな……仕事が残っていたから無理に起きたが、傍を離れるのに苦労したんだ。許してくれ」
「もう傍にいるから大丈夫です。……夢じゃなかったんですね」
「当然だ。愛している」
抱き締められ、優しく頬にくちづけされる。
「まだ寒い。服は俺が届けさせるから、ゆっくり寝ていろ」
「いえ、私も支度をしてお茶をお淹れいたします」
「そんな事は気にするな。仕事も、もう終わった。じゃあ風呂に入るといい」
「お風呂……ふ、二人でですか……?」
鎖子の頬が赤くなるのを見て、要が少し焦った顔をする。
お互いの気持ちが通じ合ってから、要の表情が豊かになった気がする。
「あ、いや。一人でゆっくり入ってくるといい。ゆっくり身体を癒やしてくれ」
「は、はい。すみません。恥ずかしい勘違いをしてしまって……」
「可愛い勘違いだ。今度、ゆっくり二人で入ろう。温泉に行くのもいいな」
「は、はい」
要の気遣いで、ゆっくり風呂に入った。
胸元に、口づけの痕が残っている。
優しく激しく、何度も抱いてもらえてた。
夢じゃない。
あんなにも要に想ってもらえて……嬉しい自分がいる。
なんて狂った女だろう……それでも構わない。
風呂から上がると着替えも用意してあり、要も汗を流して二人で食堂に行くと、満面の笑みを浮かべた梅達に挨拶された。
「おはようございます! 要様! 鎖子お嬢様~~~!」
二人が一緒に夜を過ごした事を、皆が知っているのだろう。
「おはよう」
「おはようございます」
要はいつものように無表情だが、鎖子は恥ずかしくて顔が真っ赤だ。
少し寝不足ではあったが、美味しい味噌汁が身体に染み渡る。
要に今日の予定を聞けば、今日も妖魔討伐任務があるという。
「どうして要様に、そんなに任務が入るのですか」
少佐の要が、妖魔討伐の現場にわざわざ行く必要などないのではないかと思う。
「鎖子を嫁にもらうのが罰にはならんとわかっているのだろう。謀反した俺をまだまだ痛めつけたいのさ。でも力が半減したところで、それ相応の戦い方をすればいいだけだ」
「……心配です……」
「俺は大丈夫だ。大事なお前を、一人にはしない」
言ってから、ハッとなった要だが、梅も岡崎も聞こえないフリをしている。
「ありがとうございます」
鎖子が微笑むと、要も微笑んだ。
見送りの時も使用人達は、二人きりにさせようと素早く玄関に入っていく。
「あからさますぎるんだが……まぁいい」
「要様、いってらっしゃいませ」
「あぁ行ってくる」
抱き寄せられ、口づけられた。
「……っ!」
額と頬にも、口づけされる。
今までの距離を埋めるように、二人きりの時はお互いに触れ合った。
「お前と結婚してから、任務に行くのが億劫になる時がある。今もだ」
「要様……私も離れるのが寂しいです」
「早めに帰る。じゃあ、今日はメイドはお休みして、のんびり読書と昼寝でもしていろ」
「私のメイド姿は、やはりお嫌いですか……?」
「あれは、鎖子が家を出たいのかと思っただけで……メイド姿はとても可愛かった」
大学校の進学を望んだり、メイドとして働く姿を見て、鎖子が離縁したいのではと思ったらしい。
「か、かわ……本当ですか?」
「あぁ。戸惑うほどに、すごく可愛かった」
「では、また着てもよろしいですか?」
「あぁ。俺のために着てくれると嬉しい」
「はい、私は要様のためだけのメイドです」
「……可愛すぎるんだが」
もう一度抱き締め合って、鎖子は要を見送った。
昨夜からずっと、心は幸福で満ち足りている。
想いが通じ合って、きっとこれから幸せな夫婦としてやっていける……そう思った。
そんな鎖子に、改めて大学校入学の手続きを進めるように通知が届いた。
薄明かりの中で、要にベッドで優しく押し倒された。
「今日もできるだけ……優しくしたいんだが、理性が崩壊しそうだ」
要の紅色の瞳が、切なく鎖子を見つめる。
もう、鎖子の身体も疼いて二人の熱い吐息が混ざりあった。
「……要様のしたいように……なさってください……」
「お前は……全く……本当に可愛い」
「鎖の儀のあと……触れてもらえなくって……私の身体や、私の態度に何かご不満があったのかと不安でした……」
「不満? 不満どころか……俺は、一度目で術が完了したのに朝まで何度も求めてしまったから……嫌われてしまったんじゃないかと内心かなり焦っていた……」
要が珍しく、ばつが悪そうな顔をする。
冷徹と言われている要が、内心焦っていただなんて信じられない。
「き、嫌いになんかなりません……術が一度で? そうだったんですね。私、何もわからなくて……」
「鎖の儀のあと、俺がどれだけ我慢したか……でもそれがお前を不安にさせていたんだな……すまなかった」
「だから今日はいっぱい……鎖の儀の時のようにしてください……」
「鎖子は俺の正気を失わせたいらしいな」
「えっ」
「可愛いという事だ……愛している鎖子」
「要様……っ。あ、愛しています……んっ」
鎖の儀ではない、愛し合う二人の夜。
愛を囁き、何度も求め合う。
冷たい雨がまた降る音が聞こえたが、要の腕と触れる肌の温かさにすがって鎖子は眠りについた。
「ん……」
まだ薄暗い朝方。
気付いた時には、要は隣にはいない。
不安が過ぎった。
だが、ガウンを羽織りスリッパを履いて書斎に行くと机で書類を見ている要がいた。
「鎖子。まだ起きるには、早いぞ」
要は鎖子の元へ来ると、ストールを肩にかけてくれた。
「おはようございます要様。隣にいなかったので不安になってしまって……」
「おはよう鎖子。ごめん。不安にさせてしまったな……仕事が残っていたから無理に起きたが、傍を離れるのに苦労したんだ。許してくれ」
「もう傍にいるから大丈夫です。……夢じゃなかったんですね」
「当然だ。愛している」
抱き締められ、優しく頬にくちづけされる。
「まだ寒い。服は俺が届けさせるから、ゆっくり寝ていろ」
「いえ、私も支度をしてお茶をお淹れいたします」
「そんな事は気にするな。仕事も、もう終わった。じゃあ風呂に入るといい」
「お風呂……ふ、二人でですか……?」
鎖子の頬が赤くなるのを見て、要が少し焦った顔をする。
お互いの気持ちが通じ合ってから、要の表情が豊かになった気がする。
「あ、いや。一人でゆっくり入ってくるといい。ゆっくり身体を癒やしてくれ」
「は、はい。すみません。恥ずかしい勘違いをしてしまって……」
「可愛い勘違いだ。今度、ゆっくり二人で入ろう。温泉に行くのもいいな」
「は、はい」
要の気遣いで、ゆっくり風呂に入った。
胸元に、口づけの痕が残っている。
優しく激しく、何度も抱いてもらえてた。
夢じゃない。
あんなにも要に想ってもらえて……嬉しい自分がいる。
なんて狂った女だろう……それでも構わない。
風呂から上がると着替えも用意してあり、要も汗を流して二人で食堂に行くと、満面の笑みを浮かべた梅達に挨拶された。
「おはようございます! 要様! 鎖子お嬢様~~~!」
二人が一緒に夜を過ごした事を、皆が知っているのだろう。
「おはよう」
「おはようございます」
要はいつものように無表情だが、鎖子は恥ずかしくて顔が真っ赤だ。
少し寝不足ではあったが、美味しい味噌汁が身体に染み渡る。
要に今日の予定を聞けば、今日も妖魔討伐任務があるという。
「どうして要様に、そんなに任務が入るのですか」
少佐の要が、妖魔討伐の現場にわざわざ行く必要などないのではないかと思う。
「鎖子を嫁にもらうのが罰にはならんとわかっているのだろう。謀反した俺をまだまだ痛めつけたいのさ。でも力が半減したところで、それ相応の戦い方をすればいいだけだ」
「……心配です……」
「俺は大丈夫だ。大事なお前を、一人にはしない」
言ってから、ハッとなった要だが、梅も岡崎も聞こえないフリをしている。
「ありがとうございます」
鎖子が微笑むと、要も微笑んだ。
見送りの時も使用人達は、二人きりにさせようと素早く玄関に入っていく。
「あからさますぎるんだが……まぁいい」
「要様、いってらっしゃいませ」
「あぁ行ってくる」
抱き寄せられ、口づけられた。
「……っ!」
額と頬にも、口づけされる。
今までの距離を埋めるように、二人きりの時はお互いに触れ合った。
「お前と結婚してから、任務に行くのが億劫になる時がある。今もだ」
「要様……私も離れるのが寂しいです」
「早めに帰る。じゃあ、今日はメイドはお休みして、のんびり読書と昼寝でもしていろ」
「私のメイド姿は、やはりお嫌いですか……?」
「あれは、鎖子が家を出たいのかと思っただけで……メイド姿はとても可愛かった」
大学校の進学を望んだり、メイドとして働く姿を見て、鎖子が離縁したいのではと思ったらしい。
「か、かわ……本当ですか?」
「あぁ。戸惑うほどに、すごく可愛かった」
「では、また着てもよろしいですか?」
「あぁ。俺のために着てくれると嬉しい」
「はい、私は要様のためだけのメイドです」
「……可愛すぎるんだが」
もう一度抱き締め合って、鎖子は要を見送った。
昨夜からずっと、心は幸福で満ち足りている。
想いが通じ合って、きっとこれから幸せな夫婦としてやっていける……そう思った。
そんな鎖子に、改めて大学校入学の手続きを進めるように通知が届いた。