記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
†ジェイラスの苦悩
王太子ランドルフの結婚パーティーで羽目を外した者も幾人かいたようだが、こういうときだからこそ、気を引き締めねばならない。
それでもジェイラスの心はふわふわと浮いていた。それは、アリシアが結婚を受け入れてくれたのが理由だ。
今日は、昼過ぎから夜間にかけての仕事であるため、アリシアに会えるのは明日の夜。そのときに、もう一度きちんと結婚の申し込みをしようと考えていた。
昨日は気持ちの昂ぶりもあって、つい、先走ってしまったが、雰囲気のよいレストランで結婚の約束を交わした証の指輪を贈る予定だった。
それを今から妄想していたら、気もそぞろになっていたようだ。だから、伝令のために騎士を呼び、アリシアじゃない者がやってきたときに「アリシア・ガネルはどうした?」と聞いていた。聞いてから思い出した。アリシアは、休みだったはず。
「あっ……申し訳ありません……」
伝令係の男性騎士は深く腰を折る。
「アリシアは本日付けで休職となりましたため、今後は私が主に担当いたします」
彼は顔を上げずにそう言った。
それでもジェイラスの心はふわふわと浮いていた。それは、アリシアが結婚を受け入れてくれたのが理由だ。
今日は、昼過ぎから夜間にかけての仕事であるため、アリシアに会えるのは明日の夜。そのときに、もう一度きちんと結婚の申し込みをしようと考えていた。
昨日は気持ちの昂ぶりもあって、つい、先走ってしまったが、雰囲気のよいレストランで結婚の約束を交わした証の指輪を贈る予定だった。
それを今から妄想していたら、気もそぞろになっていたようだ。だから、伝令のために騎士を呼び、アリシアじゃない者がやってきたときに「アリシア・ガネルはどうした?」と聞いていた。聞いてから思い出した。アリシアは、休みだったはず。
「あっ……申し訳ありません……」
伝令係の男性騎士は深く腰を折る。
「アリシアは本日付けで休職となりましたため、今後は私が主に担当いたします」
彼は顔を上げずにそう言った。