記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
3.
王太子一行がサバドの街に入ったという話は、シアの耳にも届いた。沿道にはその姿を一目見ようとたくさんの人が集まり、街は熱気に満ちていたという。コリンナでさえ、シェリーとヘリオスを連れて、豪奢な馬車が通り過ぎる様子を見に出かけたほど。
その話をシアが聞いたのは、その日の夕方。彼女はいつも通り養護院で子どもたちに勉強と剣術を教え、ヘリオスを迎えにモンクトン家の屋敷を訪れたときのことだ。
「シアも見に行けばよかったのよ。ああいうのって、一種の行事みたいなものでしょう?」
まるで全員参加の催しもののように、コリンナがさらりと口にした。
「でも、行けない子もいますし。授業もあったので……」
人混みが苦手な子もいる。全員が全員、王太子が来たからといって、それを見たいとは思わないのだ。
それに養護院では慎ましい生活をしており、そこに刺激を与えてもいけないとシアは思っていて、華やかな催しものがあったとしても、行きたい人は行けばいいし、いつもの生活を望む者にはそれを与えてあげたい。
その話をシアが聞いたのは、その日の夕方。彼女はいつも通り養護院で子どもたちに勉強と剣術を教え、ヘリオスを迎えにモンクトン家の屋敷を訪れたときのことだ。
「シアも見に行けばよかったのよ。ああいうのって、一種の行事みたいなものでしょう?」
まるで全員参加の催しもののように、コリンナがさらりと口にした。
「でも、行けない子もいますし。授業もあったので……」
人混みが苦手な子もいる。全員が全員、王太子が来たからといって、それを見たいとは思わないのだ。
それに養護院では慎ましい生活をしており、そこに刺激を与えてもいけないとシアは思っていて、華やかな催しものがあったとしても、行きたい人は行けばいいし、いつもの生活を望む者にはそれを与えてあげたい。